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小児のGradeの低い膀胱尿管逆流症は自然に逆流が消失することが良く知られています。尿管・腎盂の拡張のない逆流尿管では約80%、拡張が軽度から中等度であれば30%、高度であれば10%に自然消失が認められるという報告があります。これは成長に伴い尿管膀胱接合部の延長、膀胱利尿筋の発達などが原因と考えられています。しかし8歳以降では自然消失は望みにくいと言えます。
以前に比べて非手術管理が増えてきており、これは自然消失の可能性と無菌性逆流では腎障害が少ないという考えが基になっています。しかし長期に放射線検査や尿検査、また少量の抗生剤・抗菌剤の服用を迫られることを念頭におく必要があります。日常の生活では水分を多く取り、排尿を我慢しないようにし、早めにトイレへ行くようにするなどの注意が必要です。
外科的治療がどの患者に必要であるかの基準は定められていませんが尿路感染症の頻度、年齢、逆流の程度、腎実質の障害の程度、その他合併疾患の有無などが判断の基準になると思われます。手術療法には種々の方法がありますが、出血を伴う手術としては原則的には尿管を膀胱粘膜下トンネルに通し逆流防止機構を作成するものです。成功率は98〜100%といわれています。また当泌尿器科では低侵襲性治療として内視鏡的逆流防止術も行なっております。残念ながら日本では保険適応になっておりませんが傷を作ることなく内視鏡的に尿管口にペースト(テフロン、コラーゲンなど)を注入することによって逆流を防止します。10分程度で終り日帰り手術として行なえますがその成功率は当院では1回で約80%、2回目で約95%の成功率です。これは十分に説明を行い親御さんにその治療法の選択をして頂いております。 |
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