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手術実績
  高度な技術が要求される腹腔鏡手術

腹腔鏡用の手術用具 体に小さな穴を開け、モニター観察しながらの手術法

腹腔鏡手術とは体内に鏡を入れ、モニターに映し出された術野(手術する部分)の映像を観察しながら、複数の術者が細い筒から鉗子類を入れ共同で手術を行うものです。元々、体にある穴を利用した胃カメラ、気管支鏡、膀胱鏡などは内視鏡と呼ばれていますが、腹腔鏡や体腔鏡と呼ばれるものは、直接、体に穴を開けて行う手術です。穴を開ける部分が小さいので炭酸ガスを入れてお腹を膨らませ、そこにカメラや鉗子などを入れて手術します。
腹腔鏡手術の様子1 腹腔鏡手術の様子2

最大のメリットは傷跡が小さく開腹が早い事

拡大した視野で手術ができるので、細かい部分まで目が行き届きますが、逆に術野が限られ、拡大した視野での細かな解剖技術がないとミスが起きます。拡大されているということは狭い部分しか見えていないということにもなります。お腹を切って行う開腹手術とは解剖が別次元にあると考えなくてはいけません。手術道具の使い方も異なり、開腹手術は肩を支点にして道具を動かしますが、腹腔鏡では腹壁を支点として動かします。つまり、道具の使い方になれてしまえば細かな操作ができるということです。手術の種類によって違いますが、一般的には3ミリから15ミリぐらいの穴を3箇所から5箇所ほど開けます。当然、患者さんにとっては傷跡も小さく、回復も早いので大きなメリットになります。また、開腹手術と違い切った傷ではなく、差し込んだものなので、非常に治りがよいのが特徴です。術後、一週間ほどで退院でき、普段と変わらない生活ができるのもこの手術の利点です。


腹腔鏡の歴史は10年ですが、標準的な手術になっています

泌尿器で最初に腹腔鏡を使用したのは停留精巣における腹腔内精巣の観察です。これはカメラを入れるだけのものでした。次にガン化する恐れがある睾丸を摘出する方法が生まれ、そして91年、アメリカで腎臓の腹腔鏡手術が始まったと報告されました。腹腔鏡手術は複数の術者のチームワークによって行われる手術であり、術者のレベルアップとともに発展してきた術式なのです。副腎の手術が始まったのは翌年、92年のことで、これは日本が最初でした(新潟大)。前立腺についてはフランスで98年に始まり、日本でも99年後半には手術が行われました。術後の傷跡も昔は20センチ以上ありましたから、まさに画期的な手術方法の誕生だったわけです。こうしてみると、日本の泌尿器科における腹腔鏡手術はまだ10年ほどの歴史ですが、現在、能力を持った施設では腎臓、副腎の疾患については標準的な手術方法になったといってよいでしょう。しかし、高度な技術を要する手術ですから、誰でも出来るというものではありません。手術時間に関しては当病院では腎全摘で2時間、腎部分切除で3時間、腎尿路全摘で4時間ほどです。

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術についてはこちらへ→



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