ロボット支援副腎摘除術について
ロボット支援副腎摘除は2022年に保険適用となり、当院でも2023年より開始しております。2007年以降、これまでに200例を超える腹腔鏡下副腎摘除術を当院では行ってまいりました。従来の腹腔鏡手術と比較して創部の大きさは大きく変わりませんがロボット支援手術の特性の一つであるより精密な操作が可能となり、特に褐色細胞腫や周囲との癒着が予想される腫瘍、大きな腫瘍(6cm以上)、腹部手術歴がある方、BMIが高い患者さんなどが良い適応と報告されています。治療成績や周術期の合併症、安全性については従来の腹腔鏡手術と遜色ないことが報告されています。
手術適応となる副腎腫瘍
- ■褐色細胞腫
- ■原発性アルドステロン症
- ■クッシング症候群
- ■悪性腫瘍(副腎癌、転移性副腎癌)
- ■非機能性副腎腺腫(4cm以上)
※治療適応となるかどうかは正確な診断が重要となります。当院では腎代謝内科や画像診断科と連携して内分泌学的精査、診断を行っています。周術期、退院後の内分泌補充療法も腎代謝内科と密な連携を取って行っております。
ロボット支援副腎摘除術の患者さんへのメリット
- ■自由度の高い手術用鉗子、鮮明な3次元画像により腹腔鏡下手術よりも
さらに繊細で安全な手術操作が可能となっています。
- ■出血量の減少、合併症の減少、症例によっては手術時間の短縮が期待されます。
ポート(手術をするための傷)位置
※腫瘍の大きさ、性質によりポートの数は増減します。
da vinci 用ポート 8mm
助手用ポート 12mm
手術手順(左側)
Urologic Surgery Nextシリーズ1 メディカルビュー社より引用改変
@結腸外側腹膜、癒合筋膜切開
A結腸、脾臓、膵臓を内側に授動
B腎、副腎間剥離
C副腎中心静脈処理
D周囲剥離、摘出